どんな車が「事故車」となるか
上で述べたとおり、事故車とは「車の骨格を修理もしくは交換して修復歴のある車」のことです。その原因は交通事故に限らず、自然災害や経年劣化などの場合もあります。重要なのはフレームなどの車の骨格部分にまで影響する修復歴があるかどうかです。
修復歴は一般財団法人 日本自動車査定協会が定める基準によると以下の骨格に損傷があるもの、または修復されているものとされています。
損傷・修復歴がある場合、事故車に該当するパーツ
- ・フレーム
- ・フロントクロスメンバー
- ・フロントインサイドパネル
- ・ピラー
- ・ダッシュパネル
- ・ルーフパネル
- ・ルームフロアパネル
- ・トランクフロアパネル
このような箇所に損傷や修復、交換したあとがあれば「修復歴あり」とされ、事故車になります。反対に骨格にまで影響を受けない損傷や修理、交換であれば事故車ではありません。事故車に該当しない損傷・修理歴のあるパーツには次のようなものがあります。
損傷・修理歴があっても事故車に該当しないパーツ
- ・フロントバンパー
- ・ロアスカート
- ・フロントフェンダー
- ・ボンネット
- ・リアフェンダー
- ・トランクリッド
- ・リアバンパー
- ・サイドシルパネル
- ・ドア
たとえば事故などの損傷でドアを交換しても修復歴にはなりません。事故車ではないため、査定でも大きな影響は受けないでしょう。ただ、損傷がドアだけに留まらず、ピラーなどの骨格部分の修復や交換まで必要になる場合は修復歴に該当します。事故車となるため、査定でも減点対象となってしまいます。
事故車を売却するまでの流れ
事故車を売却する際にはどのような手続きが必要になるのでしょうか。事故車と修復歴のない車を売却する時の違いは、事前に修理費の見積もりをするかどうかです。事故車の場合、修理するか売却するか検討して決めたり、保険の請求で使用したりするために、まず修理費の見積もりを出す必要があります。事故車を売却するまでの流れと必要書類は以下のようになります。
◎修理費の見積もり依頼から売却までの流れ
- 1.修理費の見積もりを依頼する
- 2.事故車を買い取ってもらう場合の見積もりを依頼する
- 3.買い替えにするか修理するかを決める
- 4.買い替えの場合は売却先を決める
- 5.必要書類を用意する
- 6.事故車を売却する
- 7.入金を確認する
◎必要書類
必要書類は通常の車を売却する時に必要な書類と同じです。詳細は「車を売却する時に必要な書類」をご参照ください。
事故車を売却する時の注意点
事故車を売却する場合にはいくつか注意点があります。たとえば以下の点に気を付けて売却しましょう。
・修復歴は正直に伝える
修復歴は業者が見ればすぐにわかりま。査定に不利になるかもしれないと黙っていたり、虚偽の申告をしたりすると、車を売却できなくなるだけでなく、賠償金を請求されてしまう可能性もあります。些細な修復や損傷があっても包み隠さず正直に伝えましょう。
・車の状態によって売却先を選択する
車を買い替える予定で、売却と一緒に手続きを済ませたい人はディーラーで下取りを依頼するとよいでしょう。ただディーラーは新車の販売のためのサービスとして下取りを行っているため、買取価格は上がりにくい傾向があります。
少し修理すれば走行できるような損傷や修復歴であれば、中古車販売店や買取専門店でもかまいません。人気の車種や、特定層に人気のあるスポーツカーなどの車であれば、ディーラーよりも査定額が高くなる場合もあります。
損傷が激しい車は、事故車や廃車を専門に扱う買取業者への売却も検討しましょう。ほかの買取業者やディーラーでは値段が付かなかったような車でも、値段が付く可能性があります。
・売却するまでの管理方法に注意する
事故車の管理方法にも注意が必要です。たとえばひょうやあられによって車に傷がついてしまったり、雨による浸食が傷を受けた箇所から広がり、腐食や変色を進行させたりしてしまう可能性もあります。住んでいる地域によっては潮風や雪などの影響による損傷や劣化も考えられます。事故車だからと何も対策をせずにいると、車の価値はどんどん下がってしまいます。
屋根のある場所に置けるようならば車を移動し、屋外でもシートをかぶせるようにしましょう。また、洗車や車内の掃除などもできるだけ行い、現状以上に損傷が広がらないように気を付けましょう。
・修復の有無にかぎらず査定額は下がる
事故車の場合、損傷の大きさや修復、交換しているかに関係なく、査定額は下がります。それは現状問題なく走れている車でも、骨格に影響のある損傷を受けた車は修復歴のない車に比べて耐久性に不安が残るからです。たとえきれいに修理していても、修復したあとは査定士が見ればわかりますので、査定額が減額されることは変わりません。損傷によっては修理代金よりも売却額が下回ることもあるので、修理しないまま売却したほうがよい時もありますので注意しましょう。
・「外板価値車」も査定額は下がる
事故車以外でも「外板価値車」に該当する車は、査定の減点対象となってしまいます。外板価値車とは次のような車です。
- ・ねじ止めの外板で連続する複数のパネルを交換する必要があるもの、もしくは交換したあとがあるもの
- ・リヤフェンダー、リヤエンドパネルなどの溶接止めの外板を交換する必要があるもの、もしくは交換したあとがあるもの
たとえばラジエーターコアサポートを溶接して交換した場合、以前は修復歴に含まれていました。現在は「外板価値」の扱いとされ、外板価値車として査定額が下がってしまいます。ほかにも以下のパーツの交換が対象になります。
外板価値に該当する交換(歴)のあるパーツ
- ・連続するネジ止め外板
- ・フロントパネル
- ・ラジエータコアサポート
- ・ボディサイドシル
- ・ステップ
- ・サイドパネル
- ・キャブバックパネル
- ・リヤコーナーパネル
- ・リヤフェンダ
- ・リヤエンドパネル
・もらい事故の場合は「事故減価額証明書」を用意しておく
もしも自分に非がない事故で修復歴がつき「事故車」となってしまった場合に査定の減額を避ける方法があります。それは一般財団法人 日本自動車査定協会が発行する「事故減価額証明書」を提出することです。
事故減価額証明書は相手に非のある事故の損傷で、どれくらい評価額が下がったかを算出した証明書になります。事故減価額証明書を提出することで査定額が大幅ダウンにならない可能性があります。ただ発行できるのは「事故車」に該当する場合のみなので注意しましょう。また、発行には手数料がかかります。
事故減価額証明書を発行する手順は以下のとおりです。
◎申請先
最寄りの査定協会
※最寄りの査定協会はこちらからお探しください。
◎入手の流れ
- 1.電話をして査定場所や日時を確認し予約する
- 2.必要書類を渡して査定をしてもらう(査定時間は30分程度)
- 3.証明書を受け取る(後日送付される)
◎必要書類など ※予約時にも確認しておきましょう
- ・査定対象の車(エンジン始動のため、キーも必要です)
- ・自動車検査証
- ・自賠責保険証
- ・整備手帳(保証書)
- ・取扱い説明書
- ・修理見積書の写し(コピー)